堕罪
人類の歴史には罪が存在します。罪の現実は神の啓示に照らしてのみ、特に万人の救い主であるキリストの光の中でのみ理解することができます。罪があふれるところでは神はそれ以上にあふれる恵みを与えました。
聖書と教会の伝承が伝えるところではサタンその他の悪魔は神によって善に造られた天使であったということです。しかし、彼らは自由意志による撤回できない選択により神とその国を拒否したため悪に変えられ、地獄が生じることになりました。彼らは神に対する自分たちの反抗に人間を加担させようと企てます。しかし、神はキリストによって悪魔に対して確実に勝利しました。
悪魔の誘惑を受けたとき、人祖の男女は自分たちの創造主への信頼を心の中で失いました。彼らは不従順により神なしで、神に従わずに「神のように」なろうとしたのです(創世記3:5)。こうしてアダムとエヴァは直ちに原初の聖性と義の恵みを、自らとすべての子孫につき、失いました。
すべての人がその中に生まれる原罪とは原初の聖性と義を奪われた状態です。それはわれわれが「犯した」のではなく「受け継がれた(うつされた)」罪で、生まれるときの状態であり個人的な行為ではありません。全人類の原初の一体性のために、それは「模倣によってではなく繁殖によって」アダムの子孫に伝えられます。この伝達はわれわれが完全に理解することのできない神秘として残ります。
原罪の結果として人間性は、全面的に腐敗したわけではありませんが、その本性的能力が傷ついており、無知と苦と死に支配されるままになり、罪への傾きが認められます。この傾きは欲望(concupiscence)と呼ばれます。
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