2025年8月・9月
天の栄光、地の証し
ー 聖母被昇天の大祝日と殉教者の月を迎えて ー
ダニエル 李 昇倫 神父
毎年8月15日、私たちは、栄光のうちに天に上げられた聖母マリアの被昇天を記念いたします。この日は、ただ一人の人物の崇高な出来事を称える日ではなく、神の救いのみ業がいかに豊かに、そして私たちの人生の中で現実に実現しているかを深く味わう日でもあります。
聖母の被昇天は、神の御心にすべてを委ねた生涯の結実であり、その謙遜と信仰がついには天の栄光へと導かれたことを私たちに示してくれます。
その天の栄光が私たちの心に残る中、9月には殉教者の月を迎えます。この地において、信仰を守り、神のみ旨を証しするために苦しみと死を選ばれた多くの殉教者たち。その歩みは、まさに聖母マリアの生き方と深く結びついています。聖母が信仰の模範であるならば、殉教者たちはその模範に従い、福音の種を地に蒔いた証し人です。
聖母は沈黙のうちに神の御心を受け入れ、殉教者たちは苦難の中でその御心を高らかに証しされました。一方は天に上げられ、他方は地に倒れましたが、彼らの魂はすべて神のみ腕に抱かれております。被昇天と殉教―その形は異なれど、いずれも神の愛に対する完全な応答であるという点において、ひとつの真理を語っているのです。
現代に生きる私たちは、どのようにしてこの神の招きに応えているでしょうか。静かな従順によってでしょうか、それとも公の証しによってでしょうか。この聖なる時が、私たち自身の信仰を省みる機会となりますように。聖母の愛と殉教者の勇気を心に刻み、それぞれの場所で「小さな殉教」の道を歩むことができますよう、お祈り申し上げます。
私たちの人生が天の栄光へと至る旅路であることを思い起こし、聖母と殉教者たちが示してくださったその道を、共に歩んでまいりましょう。
「わたしの魂は主をあがめ、わたしの霊は救い主なる神を喜びたたえます」(ルカ 1・46-47)