教会月報 巻頭言

2024年3月​​​​​​

極限の愛

ダニエル 李 昇倫 神父

イエス様は、ご自分が神様から出て、神様のところに戻ることを知っておられたので、自ら弟子たちの足を洗い、腰に巻いたタオルで足を拭き始めました。

最後の瞬間に見せてくださいます。
最高の愛は仕えることであることを。

十字架を控えた極限の状況で、神様は愛を見せるために弟子たちの足を洗います。
弟子たちと別れる瞬間です。
その愛する方がぼろぼろに傷だらけになっていくのを目にしながらも、助けられないまま見守ることしかできない、どうすることもできないという切ない気持ち。
弟子たちのその気持ちが伝わり、ご自分の不在により受けることになる苦痛を慰めようとしたイエス様の心です。

神様は喪失と悲しみの時間が訪れる前に、優しい愛で抱いてくださいました。
私たちが受けた恵み、私たちが体験した神様の愛、
それは現在の苦痛をうまく乗り越えようとあらかじめ施してくださった神様の愛のサインです。

イエス様が洗ってくださったその足でユダは神様を売り渡しに行くでしょうが、他の弟子たちは地の果てまで福音を伝える使命に耐えるでしょう。
その足を差別なく、きれいに洗ってくださったのです。

復活の人生を送りたいなら、愛することを遠い未来に延ばしてはいけません。
イエス様は裏切りの夜に足を洗ってくださり、ご自分の体を与えてくださいました。

ご自分が生き残ることをあきらめて、他人の命を救うためにご自分の命を差し出してくださいました。
「私」を消し、「世の中」を生かしたその愛は、あまりにもすさまじく涙ぐましいものです。

今イエス様が洗ってくださったその足で、皆さんはどこに向かっていますか?