2019年12月
ベトレヘムにある
「幼子イエスがお生まれになった」
とされる生誕教会を巡って
エリック・バウチスタ・デ・グスマン神父
今年の8月は聖地巡礼に行ってきました。
エルサレム、ベトレヘム、ナザレ、ガリラヤなどのイエスゆかりの地と旧約聖書と新約聖書にかかわるいくつかの巡礼地にめぐって、巡礼者の皆さんと一緒にミサに与ったり、聖書を読んだり、黙想したりしました。
私にとって、一番楽しみにしていたのは、ベトレヘムでした。
フィリピンでは、9月になると、ラジオ、デパート、広場などで、クリスマスの歌が流れ始めます。
クリスマスの季節がやってきたということです。
各家庭でも、馬小屋やクリスマスツリーなどの飾り物が少しずつ飾られます。
特に、パロールという星の形をしている電飾を懐かしく思い出します。
星は救い主がお生まれになったことを告げるベツレヘムで現れた星のことを表しています。
私たちが泊まっていたエルサレムのノートルダムセンターからイスラエルとパレスチナの境界を超えて、バスで約30分のところに、ベトレヘムがあります。
そのすぐ近くに、ベトサフルという場所があります。
ここに、天使の大群が「栄光の賛歌」を歌って、夜通し羊の番をしていた羊飼いたちに主イエスのご降誕を告げたとされる「羊飼いの野教会」があります。
教会の壁には美しい絵画があり、幼子イエスの誕生の場面と羊飼いたちと天使たちの場面も美しく描かれています。
教会のすぐ隣には小さな洞窟があり、中には馬小屋が見えます。
ベトサフルを出て、次は、ベトレヘムの生誕教会に向かいました。
ベトレヘムはヘブライ語で「パンの家」という意味で、天から降ってきた、生けるパンであるキリストにぴったりな地名だと思います。
生誕教会はエルサレムにある聖墳墓教会と同じように4世紀に、カトリックがローマ帝国の国教になったときにコンスタンティヌス皇帝によって建てられた教会です。
街の真ん中には生誕教会があり、現在は正教会が管理しています。
そのすぐ隣にはカトリックの「聖カタリナおとめ殉教者教会」があり、この地下にある聖ヒエロニムス小聖堂で私たちは平日ミサを捧げました。
聖ヒエロニムスはベトレヘムで聖書をギリシア語(72人訳)とヘブライ語からラテン語(ウルガタ訳)に訳した聖人としてよく知られています。
ミサの後、生誕教会に戻り、イエスがお生まれになった場所を訪れるために並びました。
その日は巡礼者が多くて、私たちは一時間ぐらい並びました。
列に並んでいるときに、生誕教会の周りをゆっくり見ることができました。
一般的な正教会の聖堂と同じように、祭壇にはご像がなく、イコン(聖画)があります。
聖地のあちこちによく見られる独特な金属のランプもたくさんぶら下げてありました。
モザイクも壁の周りにありました。
いくつかの巨大な柱が生誕教会の聖堂を支えています。
やっと私たちの順番になり、小さな部屋のような場所に案内されました。
イエスがお生まれになったとされる場所は星の形をしているマークで印されていました。
巡礼者は皆、跪いてその星のしるしに触れて、静かにお祈りをしていました。
聖なる場所に感動し、私は言葉が出なくなってしまいました。
みことばである主キリストが肉となり、わたしたちのうちに住まわれたという受肉の神秘がここで完成されました。
万物の造り主が小さな幼子としてお生まれになり、おとめマリアに抱かれて、静かに眠っておられました。
これからは、聖書にあるイエスの誕生の場面を読むとき、そして、飾られている馬小屋を見るとき、ベトレヘムを巡礼したこの貴重な体験を思い出すでしょう。
御父の目に見えない姿は私たち人間と同じ見える姿になり、罪のほかは私たち人間と同じになられ、私たちと同じ人間性をもって、キリストはここでお生まれになりました。
こんな素晴らしい体験ができて、神様に一生感謝すべきだと思っております。