2013年5月
母マリア
助任司祭 カスキーリョ・マルコ
慣習として、教会は一年の各月を特定の信仰に捧げています。
例えば、1月はイエズスキリストの聖名に捧げられ、2月には私たちは聖家族に祈ります。
3月には聖ヨゼフを思い起こし、6月にはイエズスの聖心を祝します。
7月はイエズスの尊き御血に捧げ、8月にはマリアのけがれなき御心に祈り、9月には悲しみの母マリアを思い出し、10月には毎日ロザリオを唱えます。
11月には煉獄の霊魂のことを思い、12月には無原罪の御宿りを祝います。
各月に特別な祈りを捧げるというカトリックの慣習は16世紀の初めにさかのぼります。
6月は清きマリアに捧げられますが、この信仰は18世紀後半にローマのイエズス会の中で始まり、急速にヨーロッパとアメリカに広まりました。
イエズス会ローマカレッジのラトミア神父は、学生たちの不信心や不道徳をなくすために、5月をマリアに捧げると18世紀の終わりに宣誓しました。
この慣わしはローマから他のイエズス会の大学に広まり、やがてほぼ全てのカトリック教会に広まったのです。
ローマ教皇ピウス9世が18544年に無原罪の御宿りの教義を宣言した時には、既にこの信仰は世界的に普遍なものとなっていました。
5月に聖母マリアにロザリオの祈りを唱える慣習は、特に教皇レオ13世がだしたロザリオ回勅によって一般化しました。
1883年から1889年の間に教皇レオ13世はロザリオに関して12の回勅と5通の手紙を書いています。
現在では世界中のカトリック教徒が5月をマリアの月と呼んでいます。
5月には人々は教会や聖堂に集まってロザリオを唱えます。
またマリアに敬意を表して、5月に戴冠式や巡礼などの特別な行事を行う国々もあります。
5月はまた、聖母マリアがポルトガルの山間にあるファティマという小さな村で、三人の羊飼いの子供たちに現れたことを記念する月でもあります。
これは1917年の5月13日を初めとして、6ヶ月連続で毎月13日の日に起こりました。
三人の羊飼いの子どもたちはルチア・サントスと彼女の従兄弟のヤシンタとフランシスコ・マルトです。
この従兄弟の二人は教皇ヨハネパウロ2世によって福者とされました。
出現のとき、聖母マリアはご自身を「ロザリオの母」と呼び、人々に毎日ロザリオを唱えるように求められました。
教皇フランシスコは5月13日に司教となり、ファティマの聖マリア、ロザリオの聖母にローマの司教職を委ねました。
これはロザリオを唱えることの大切さを私たちに教えてくれています。
私の提案ですが、5月をマリアさまへの信仰を新たにする機会と考えましょう。
日本の忙しい生活の中で、多くの祈りの時間を持つことは簡単ではないと思います。
しかし、5月だけは ロザリオにかぶった埃を払って、聖母マリアに祈りましょう。
ロザリオを失くしてしまったのなら教会の事務所を探してみてください。
失くしたのに、探しに来てもらっていないロザリオがたくさんあります!
ロザリオを持っていなくても心配はいりません。
天使祝詞を指で数えることもできます。
電車で、車で、(旅行中の)バスで、(ミサの前に)教会で、あるいは寝る前にベッドの上でも、ロザリオを唱えることができます。
祈りながら眠くなったり、ロザリオの途中でうとうとしてしまったりしても大丈夫です。
神父だって、修道女にだってあることです。
もっとも大切なことはマリアさまを思うことなのです。
あなたが天使祝詞を唱えるたびに 美しいバラを捧げているようなものなのです。
5月がマリアの月となったのは、さまざまな異教徒の信仰を変えるためだという人もいます。
古代ギリシャやローマ人たちにとって、5月は新しい命の始まりの季節でした。
ギリシャ世界では5月は女神アルテミスに捧げられ、多産と結び付けられていましたし、ローマ文化は5月を花々の女神であるフローラに関連付けていました。
いずれにしても、この月は春がその美しさの絶頂期を迎えることは確かです。
聖母マリアはイエズスキリストをお産みになったとき、この世に新しい命をお与えになりました。
マリアさまは教会の聖人の中で最も美しい女性の一人でした。
キリスト教徒として、私たちは5月とマリアさまの関連性も理解することができます。