教会月報 巻頭言

2008年12月​​​​​​

いと高きところには栄光、地には平和!

不思議なクリスマスの思い出  

 神戸港の外国船に勤める乗組員の司牧にたずさわっていたとき、あるフィリピン人の船で捧げられたクリスマスのミサが忘れられません。

 かつかつの賃金しかもらえない船員たちは、当時の中山手教会までのタクシー代を払うこともできず、日本の慌ただしい年末の仕事で町に出かけられません。母国から離れて、奥さん・子供・親戚の声を聞きたくても、本船では許されません。

 そのような寂しい状況の中に、彼らが一生懸命に用意してくれたミサの一コマがNHK-TVの番組に取り上げられました。

 船室(食堂)の飾りはとても美しくて、TVの画面では印象的だったそうです。銀色の紙に赤い字で<救い主が生まれた・メリークリスマス!>というメッセジが張ってありました。ところが、その銀の紙は港で勤めている日本人の捨てた弁当箱の底だったし、赤い字は、船会社が船長に持ってきたプレゼントの包み紙を使っていました。

 外洋で練習した聖歌が、ギターの伴奏で、救い主に捧げられたとき、クリスマスのよろこびが食堂中に響き渡りました。ありあわせの材料で飾りを準備し、心を合わせて、救い主の幼子をたたえる聖歌が歌われたのです。

 そこには、皆各々準備し,皆各々苦しみを共有しながら,希望へつなぐ絆をしっかり固めたと強く感じました。本船で救い主の愛の訪れを確認しました。

 待降節の間に、心を清めて(許しの秘跡に与って)、恵まれていない人に心を配り、すべての人が救われるように祈りましょう。
家族のため,周りの人のために,私たち一人ひとりが,心を込めて、幼子を迎え入れる準備をするなら、ありあわせの飾り付けでも,暖かく、深い喜びは伝わると思います。

 それぞれの立場から皆、心を準備して、救い主の訪れを待ち望みながら、良いクリスマスを迎えたいものです。

コーナン・ミシェル 神父